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暴力団と交際するとペナルティ?埼玉県暴力団排除条例の内容とは?

この記事は 2011年12月28日 に執筆したものです。

埼玉県暴力団排除条例が施行

平成23年8月1日から、「埼玉県暴力団排除条例」が施行されました。

いままでの暴力団対策は、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(通称「暴対法(ぼうたいほう)」)によって行われ、相応の成果をあげてきましたが、その反面、暴力団活動の巧妙化・多様化を促し、暴力団の悪質な活動に対して法律が追いつかない事象が出てきました。

これらに対応するため、埼玉県は暴対法に上乗せする形で「埼玉県暴力団排除条例」を作り、行政や住民が一体となって暴力団排除を進めることを明確にしました。

現在、埼玉県内では、平成22年末現在で、暴力団員約1400人、準構成員1380人の、合計2780人の暴力団関係者が存在してるとされます。(埼玉県警 資料より)

特に近年、埼玉県内では「六代目山口組」傘下の団体が急速に勢力を伸ばしており、「住吉会」との対立抗争の激化から、拳銃発砲事件が発生するなどもしています。

埼玉県暴力団排除条例では、自治体の公共工事に暴力団が入らないように必要な対策を講じたり、暴力団の事務所を学校などの近くに作ることを禁止するなど、社会から暴力団を排除するために必要な事項を盛り込んでいます。

また、埼玉県以外でも、全国47のすべての都道府県において、細やかな規制内容は異なるものの、類似の暴力団排除条例を制定しており、全国で暴力団排除の機運が高まっています。

住民側に義務とペナルティが課せられる「利益供与」

埼玉県暴力団排除条例における目玉のひとつに、「暴力団への利益供与の禁止」があります。

今までの暴対法における規制や罰則は、ほとんどが「暴力団」に対して義務やペナルティを課すものでしたが、新たに施行された暴力団排除条例では、暴力団に加えて「住民」に対して義務やペナルティを課すものになっています。

具体的には、住民が暴力団に対してトラブルの解決を依頼する行為、暴力団員に(組長や若頭に就任するなど暴力団内部での昇進についての)昇進祝いの金品を渡す行為、暴力団組織が会合や宴会を行うための催事場を貸したり料理を提供する行為などです。
これらの行為は禁止されることになります。

これらの行為を住民が行った場合、埼玉県公安委員会(埼玉県警の上位組織)がその住民に対して「利益供与をしないように求める勧告」を出すことができます。

そして、この公安委員会の勧告に従わなかったり、公安委員会からの説明や資料の提供を求められた住民がこれに応じなかったりしたときは、公安委員会はその住民の氏名を公表することができます。

条例施行後、埼玉県公安委員会では、暴力団組員の葬儀を行った葬儀業者に対してこの勧告を出したそうです。
「葬儀」を行ったことに対して「利益供与」とみなすのは乱暴な感じもしますが、組葬(暴力団が所属する組員の死に対して組織をあげて取仕切る葬儀)は自分の暴力団組織の力の大きさを対立する暴力団に対して誇示したり、香典の名目で資金集めをする実態があることから、実質的に暴力団活動を助長するということで、「利益供与」とされたようです。

しかし、どこからが「利益供与」となり、どのような行為を行うと「勧告」となるのかについては、曖昧さが残ります。

行為の内容 「暴力団へ利益供与」か?
暴力団員個人に弁当を
販売する。
× 個人の通常の食料品や日用品の販売は、利益供与にはならない。
暴力団の組事務所に
仕出し弁当を配達する。
暴力団組織の会合や食事会に使われる可能性が高いものについては、利益供与になる可能性がある。
暴力団の組事務所の割れた窓ガラスを交換する。 通常の現状復帰のような補修工事は、一概には利益供与とはいえないと考えられる。
暴力団の組事務所の割れたガラスを防弾ガラスに交換する。 組事務所の武装化に供すると思われる補修工事は、利益供与となる可能性が高い。
暴力団組員の名刺を印刷する。
暴力団組員の破門状や絶縁状を印刷する
暴力団の名刺などの印刷は、暴力団活動を助長するものとして、利益供与となる可能性が高い。
暴力団組員の子供や親族を、町内会などの中でみんなで無視するようにする。 暴力団とは直接関係ない子供や親族への村八分(むらはちぶ)的行為は、暴力団排除条例とは別に、人権侵害となる可能性がある。
暴力団を連想させるような服装やアクセサリーを身につけた客の、入店や注文を断る。 外見だけで一方的に暴力団と判断する行為は、暴力団排除条例とは別に、人権侵害となる可能性がある。

※この表の判定については、筆者が条例や取材を元にして編集したものであり、実際の条例の運用とは異なる可能性があります。

暴力団排除条例の問題点は?

このように、暴力団排除条例に定める「利益供与の禁止」の規定は、暴力団排除について住民側にも新たな義務を求めながら、その内容や線引きについては、あいまいであるという課題が残っています。

この「利益供与の禁止」については、「暴力団からみかじめ料などを強要されてきた住民や企業にとっては、決別の援護射撃となるよい制度になる」という意見がある一方で、「『利益供与』か否かの判断は実質的に住民側の自己責任で、仮に住民の暴力団排除のための行動でトラブルなどが起こったとしても、行政や警察が責任を問われないようなしくみになっているのではないか」という批判もあります。

また、暴力団排除の風潮が広がることで、「過剰な自粛」や「いきすぎた自主規制」を心配する声があります。

たとえば、静岡県においては、「清水の次郎長」が、群馬県においては「国定忠治」が、「任侠や博徒は歴史的に暴力団とつながりがあるので、暴力団の賛美につながりかねない」などの理由で、自治体のイベントなどで取り上げることが自粛されたという例があります。

いわゆる「テキ屋」の主人公・車寅次郎を描いた映画「男はつらいよ」が「暴力団賛美につながる」として糾弾・排除されるような状況は、いま現在では一笑に付すような話ですが、「清水の次郎長」や「国定忠治」を自粛すると判断した理由とは、地続きでもあります。

暴力団排除条例の趣旨は、あくまでも暴力団を排除することによって企業の公平な商取引や、住民の安全や平穏を確保するためのものであり、住民による「魔女狩り」や「相互監視」を助長したり、表現の自由や経済活動の自由を縛るためのものではありません。
住民と行政の双方に、正しい理解と行動が必要です。

内容が分からない、もっと詳しく聞きたいなど、疑問・質問がございましたら、お電話にて、お気軽にご相談ください。

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